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観劇したりイベントにいったりの記録です。基本的に自分メモ

どこに続く坂なのか 舞台「炎の蜃気楼昭和編 紅蓮坂ブルース」

舞台「炎の蜃気楼昭和編」通称ミラステが今年も上演中です。これを書いている本日現在を含めてあと二日。あと2回で今年のミラステは終わってしまいます。
あと2回…円盤は出るけどあと2回しかあの坂は劇場に現れない。
変な話だけれど早く終わって欲しい、という気持ちとどうなるんだろう、もっともっと回を重ねていったらこの舞台どうなるんだろう…っていう気持ちとのせめぎ合いでお腹が痛くなってる。終わりがあるからこそ美しいし、終わらないと本当に板の上で加瀬さん*1死んでしまいそうだから早く終わって欲しい…ってパラドックスに陥ってしまう。
私が見るのは千秋楽を残すのみになりました。
千秋楽を見てからだと色んな事が変わってしまいそうだから今思っていることを記録しておこうと思います。

ここから先はネタバレがばんばん出てきます。ミラージュ本編や昭和編その先に触れてしまうこともあるかもしれませんのでよろしくどうぞ。

どうしても今回キャスト変更にふれずに色んな事を話すのは無理なので自分の中でそのまま素直に、何も整理せずに書いていきます。

 

 

 


まず、紅蓮坂をやると発表された時の私の反応が「えっ?紅蓮坂…??」だったわけです。去年やったのは夜叉衆ブギウギ。これは短編集からのオムニバス舞台だったので、昭和編の本筋からは少し離れてしまっている(やどかりは十分本筋の流れだと思うけども)訳で、実質的に瑠璃燕ブルースから紅蓮坂まで飛んだわけです…えっ?ええっ?うそ、それちょっとどうするの…??って思ったら結果的に悲願橋とのリミックスみたいになっていました…これ、そうだよね…やらないと無理だよね…となったので脚本の方すごいな…と。レガーロとのお別れも本当に切ない&切ないだけどきちんと描いてくれてよかった…あぁ…もうバーテンダー姿の加瀬さんには会えないのね…悲しい…
今回執行社長がミラステで見れるのはラストということですが、執行社長のどこまでも自分の関わったひとへの優しさが凄い。朽木慎二はもういない、という信長に対してまでもおまえは朽木だろう、戻ってこいとかけてくれる声に対して信長がですよ…あの信長が揺らぐ瞬間が一瞬の演技で見えてまっすんさんの信長本当…って毎回泣いてる…もう私が信長で泣くとか過去の自分に教えてあげたい。正直ミラステを見るまで織田は敵!!織田は敵だから…!!って感じだったんだけどミラステの織田主従が本当に本当によくてすごく好きになった…これは役者さんの力が凄く大きいだろうなと思っているし、ミラステのレガーロの描き方が優しくてあったかくて大好きだった…もう過去形になってしまうの悲しい。
今回から本格的に織田vs上杉になっていまうのでちょっと息の抜ける日常が無くなってしまっています。なのでここから入ってくる人本当しんどいよね??と見る人にもキャストにも思ってしまうので、もしよろしかったら是非過去円盤を見てください…ちょっとおばかでかわいい所もあるんですよ…

このままとりとめなく行きますけど、まず今回新キャストとなった高坂弾正
最高じゃない???この高坂最高すぎない??もうおまえ6番目の夜叉衆じゃない?
高坂って本編でもあの通りのキャラで1巻から最終巻までいるキャラなんですけど、今回の高坂すごく動く!!!めちゃくちゃ胡散臭い部分を残しつつ、アクションするとキレッキレでくるくる回るとお衣装があいまって本当に素敵…!全身黒衣装なんだけどマントの裏地がターコイズブルーっぽくて戦闘の後にそれをはらって戻す仕草とかもう最高。とりあけど頭に美奈子を助けた時なんて上の段から飛び降りて前転してそのままアクション展開するんですけど、なんだこれすごすぎない??初見でもう見入ってしまった…プリステ組の方らしく今後もどこかでお目にかかりたい…。演技もすごくいい。対直江の時の煽っていくの本当最高なんだけど※高坂は趣味直江いじり。直江FC
入会してる。
直江がいやな顔すればするほど超楽しそうな高坂にこれこれこれこれ!!高坂これこれ!!って興奮を隠しきれなくて近くで見た時も本当に最高だった。直江と景虎様より先に高坂と直江ちゅーしそうな顔の近さで煽ってくるし顎掴むし本当最高。ちなみに景虎様は直江より先に蘭丸とちゅーしそう。高坂と直江の2ショブロマあったの本当正解だと思う。すっごいかわいいです。

今回のゲストキャラ高屋敷鉄二。すごーく良かった!!鉄二こんな感じなんだろうなあ、というまんまだった…。決して出番が多い訳じゃないけど、その中でしっかり演じてくれてるしとても上手な俳優さんだなあ…若いのにすごい。お目当てで来られた方には出番は少し少ないかもしれないけれどすごく重要な役回りをしている鉄二がこの方で良かったなあと思いまして、お名前覚えました。

(ここまで来て意図的にわたし景虎様と直江のことは後回しにしてます)



長秀と景虎様が松川神社で打ち合わせっぽくしているシーンが好き。長秀が木端神*2を仕込んでいる所に景虎様が来て両サイドに分かれて話している所。景虎様と長秀は上杉夜叉衆の2トップなんだよね。その二人がやる前にやる、まるでヤクザもんだな、本格的な戦争だ、と話しているところすごくぞくぞくする。今回夜叉衆が分かれてあちこちに行く場面が多いけれど、長秀と景虎様は一緒が多いからちょいちょい話して、長秀は心配してくれていて本当にそれーーなーーーーとなる。わたしの大将組は千秋*3からなんですよ…
長秀も晴家も景虎様と直江の事を心配している。無理やりどうこうしようとはしないけれど、近い距離でずけずけと意見をしてくれる。これは彼等の繋がりがあってこそだけれど、それでも二人はこの問題に関して言うと他の誰にも、お互いにすら話さない。理解も求めない。それでも受け入れてくれている夜叉衆…うっ…
「あいつは優し過ぎる」と景虎様がいうけれどそれを言えば皆だ…分かりにくいかもしれないけれど景虎様もそうだ…。この先を知っているので、今このミラステで描かれている景虎様を見ると本当にこの人夜叉…ってなるけれど夜叉には夜叉にならなくてはいけない理由も、夜叉になるしかなかった理由もある…その生きていくための理由、強いものが無ければ400年ていう長い時間を終わりがどこにあるのか分からない戦いをしながら生きていくのは難しいんだろう。

ひとが、生きていくためには理由が必要。

晴家に直江との事を問い詰められた景虎様がぽろぽろと零した言葉の欠片たちは、晴家には分からないけれど直江だったら分かるものだ。そしてそれを直江に言わないのが景虎様がマジ景虎様、あなたってひとは…!!ってなる部分なのだけれど、実際に舞台でそれを見ると生身の人間の表情、息づきかいが付属してくるからダイレクトにつらい。会話をしながらどんどん直江の事を考えていく景虎様の表情の変化が痛い。

ミラージュのお話はこの後クライマックスになり昭和編の彼等の戦いは幕を閉じる。その先にあるのが本編であるけれど、本編で幾度となく「30年前」と語られていた昭和編は本当にきつい。直江と景虎様の関係性でいえばもっともきついんじゃないかと思うので今直江病発症されている方には本編読んでこ…としか声をかけれません。本編、読もう。やっぱりつらいけど。

笠原家が焼かれてしまい、その焼け跡にくる景虎様と直江のくだり。あそこの平牧直江がとてもとても好きで、前方席でも本気双眼鏡で見てしまう。美しい顔の人の絶望的な顔ってどうしてあんなに綺麗なんでしょうね…。その瞳今映ってるものは何だろう、っていうくらい平牧直江の瞳が絶望と後悔とでぬれていて、慟哭するしかなくて。ずっと直江を見てた景虎様は直江が自分を痛みつける時は止めます。その前にね…呪詛に使われたものを景虎様見つけて直江が見ていないところで拾っているんですよ…だからこのシーンで思いきり直江を突き放して落とした後に「機嫌が悪い」って毘沙門刀持ってきて笠原家の仇討しにいってしまうんですよ…。ここの刀ついてるアクションシーンすごいかっこいい…翔さんの重心の低いアクションすごく好きなのに加えて毘沙門刀きた!!ってなってたいそう興奮してみましたけど、加瀬賢三の体はもう限界にきてる状態な訳で、舞台で演じられている加瀬さんも一回調伏するごとに死相出てるんだよ…本当に…1回毎本気で、命を削るように調伏する上杉景虎富田翔さんは本気で毎回演じてくれてるのがわかる…死なないで、生きて、って思いながら見てる舞台ってなんだろうか…。
今回キャス変があったことで、いきなり物語のクライマックスから投入された平牧さんの直江は本当に回数ごとにぐんぐんよくなっていくというか、こうして探っていく姿ってこのあたりの直江として正解じゃないのか?という気がしている。個人的な好みとかもっとこう!ていう部分はあるにせよ、納得できる平牧さん自身のものとして見せてくれている。それが出来るのも富田翔という人の、上杉景虎がいるからなんだろうな。景虎様本当に容赦がない。最初から全力で殴ってくる。全てを背負う覚悟を体現したら今の翔さんが演じているその姿になるんじゃないか。
そして4年目の信長VS景虎がすごすぎて魂のステージとはこういうことを…と震える。今回の信長本当に強くてやばいこれは勝てない…となってしまう所があるんですけど(演出が最高です)それなのに、それなのに「遅かったな、加瀬」ってあの頃の声で言うの本当にずるい…!!うわーーん!!
前作からそうなんですけどミラステの上杉と織田それぞれの主従の対比がすごく秀逸で好きです。今回は上で主人が、下で家臣同士が戦います。この見せ方舞台ならではでかっこいい…。あと、対比と言えば、違う場所でそれぞれ調伏している景虎様と直江のシンクロしてる動き最高じゃなかったですか…最高でした。あそこちょっと引きで見ると本当にかっこいいんだわ…
1度最前列で見る機会があったけれど良い意味でこの舞台最前で見るものじゃなかった…近いのは嬉しい、見れるのは嬉しいけれど始まってからずっと苦しい。ずっと鉛玉を打ち込まれてるように圧迫感がすごい…完全に戦いの場にたまたま居合わせてしまった一般人です…。
終わった後しばらく立ち上がれなくて手に持っていた筈の物は床に落ちてるし、一緒に見た友人はハンカチをねじる状態にしていて固まってるし、お隣の方は顔を伏せてしまっていた。どちらからともなく「お疲れ様でした」と声をかけあって立ち上がって後ろを見たら客席に殆ど人がいなかった…どれだけ…その間中スタッフさんがお客様…と退場を促すような声掛けに来なかったのは偶然かもしれないけれど凄くありがたかった。よく生きて帰れたな…って思う。

何を書いても言葉が足りないし、あっているかもわからない…
苦しいのにどうしてこんなに目が離せないんだろう、見に行くという選択肢しかないんだろうってずっと考えてるけれど、気が付いたら予定にはないチケット手配して、その公演見終わってすぐにその日の夜の当日券を買った。髑髏城のチケット代をもらったお金で私また坂を上った。
そもそもこの紅蓮坂、登った先に何があるのかと皆登っているけれど、この坂は本当に登り坂なんだろうか。必死に登っているつもりだけれど下ってはいない?
今回のEDは完全に次回に続く!!ていうていで終わったので、この坂がどんな坂だったのかが本当に分かるのは次回、おそらく最終回になるのだろうなと思います。
明るくキラキラ輝くものはそこにはないかもしれない、けれどずっしりと人の心の中を抉っていく重みと熱がある。

明日、平日の15時に千秋楽を迎える紅蓮坂を見届けるために今日は仕事をしています。あと2回。あと2回しか現実の現れない坂です。
もし機会があったら北千住へどうぞ。きっと物凄いものを受け取れると思います。

 

 

今日も無事に幕が上がり、降りますように。
~ああ、もうちょっとライトに最初のキャスパレのOPマジ最高!マリーちゃんの投げキッス!!とか書きたかった~

 

 

 

 

mymさんごめんなさい。直江と景虎様の事はまだ書けませんでした。まる。

*1:富田翔さん演じる上杉景虎

*2:天才まーさのおかげで木端神がものすごく愛しくなってる

*3:長秀の本編での現代名