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観劇したりイベントにいったりの記録です。基本的に自分メモ

リーディングドラマ「シスター9/2」@博品館劇場

9/2(日) 13時 木村花代さん・荒牧慶彦さん 回を観てきました。

結論を先に言うと凄く好きな本だった。これは何度も演者を変えて上演されているの分かるなあ、というお話でした。他の役者さんがどう演じられているのかも凄く気になる。千秋楽だったオリジナルキャストの篠井さんのお姉さんとても気になる。
過去の姉弟を見て一番気になったのは渡辺えりさんです。どうなっちゃうんだよ(笑)そして友達との話の流れから一番見てみたいなって考えたのは大竹しのぶさんのお姉さんです…絶対泣いてしまうじゃん、そんなの…と前置きをした所で感想です。

当たり前にネタバレあるので未来からシスター検索で来た人この先注意。


 

ブログ情報 - suzukatz-cloud

こちらに元になる脚本がweb公開されてます。元のタイトルは「シスターズ」

つまり姉妹の話だったんですね。私はどういう話なのかな?というのをさらっとだけいれたいので感想ブログを探して薄目で読んで、見終わってからこちらの脚本を見ました。
結果としてはそれですごく良かったなと個人的には思ってます。
姉と弟の二人の会話のみで構成されるリーディングドラマ、朗読劇でしたけど、まず最初に二人が現れてそれぞれに席について、水差しからコップに水を移す。ここまでぼんやりとした照明が舞台の真ん中に置かれた机と左右の椅子しか照らしてません。
木村さんは黒の花柄のレースが入ったワンピース、荒牧さんは白シャツに黒パンツ。お二人の衣装を見ただけですごく、好き…!ってなってしまった。朗読劇なので基本的に耳からの情報がメインではあるのですけれど目から入ってくる印象も凄く効果的だった。
お二人の頭のラインが真ん丸でもうかわいい…となってたら静かに始まりました。

結論をド頭に書いてしまったのだけれど、私自身も姉弟の姉で、この年齢になっても弟の事が大好きなのでお姉ちゃんのほうに凄く気持ちを入れてしまっていたのだが、その姉も幽霊というよりはイマジナリーフレンドめいた所があって、この辺は受け取り手の解釈によるなあという感じでした。私も弟のイマジナリーおねえちゃんだったらどうしよう…多分もう存在消されてる。
木村さん演じるお姉さんはしっかりもので快活、はっきりとしてちゃきちゃきして弟の事がほうっておけないお姉さん。そういうお姉さんを弟がイメージして出来ているのだけれど、それはつまり自分に出来ない部分だったり、こういう姿だったりという憧れを投影されているようでもあるなと。
荒牧さん演じる弟。こう…なんていうかインナーワールドが強そうな、うつうつとしたところがあるけれど、内側に持っているものは温度がある、みたいな感じでポエムの話をする時だけ早口になるのが、おたくのそれでは…ってなってしまった。
このお姉さんと弟の組み合わせはお姉さんで結構決まってしまいがちになるのでは?となったのだけれど木村花代さんの第一声から綺麗な聞き取りやすい声に素敵だあ…となり引き込まれました。ブログに歌うように、と書かれていたけれどまさにそうでした。
最初の姉弟のリフレイン。お姉さんは歌うように、弟は寝言を言うようについていく。そうして少しずつ覚醒していく弟、という図に最後の展開を経てからだと「あ、これフランダースの犬では??」となった。
寝たら死ぬ!!っていうやつ。
荒牧さんの見た目が若い事もあってこの弟、何歳設定なんだ??結構いい年齢では?でもいい年齢でこの事態??一緒の職場にはちょっと…みたいな事を思いながら見ていた。
2人が話すのを休むというか、間がある時は照明が絞られて本当に暗くなりSEが鳴ります。このSEがわざとそうなんだろうな、という感じに不穏、不安になる音で、でも聞いた事がある音…なんだろうか、となって帰宅する頃に「あぁ、そうか」と思い至ったのは医療機器の音でした。
SEが完全に鳴り止んでから姉弟が会話を始めることもあったし、鳴り止まない内に会話が再開することもあった。まだ話している時にかぶさってくることもあった。あれは何だろうなと少し気になっていたのだけれど、もしあれが医療機器の音を想定しているのならば、すごくすとんと落ちました。
まだ話しているのに割り込んでくる音=危険な状態 なのかなと思ったらなるほど!だったし、弟が黙るとお姉さんはどんどん話しかけてきます。意識をきちんと保つように話しかけてきて、どんどん今の状態を自覚させるように話を誘導していきます。
いつも弟の側に居て弟と共に成長してきたお姉さんが幽霊なのかイマジナリーなのかで
前者であれば「弟に生きて欲しいという姉の願い」によって引きこされるものであり後者であれば「弟自身の死にたくない!という願い」が引き起こされるものであるのが面白いし、どちらもありだな、と。
木村さんのお姉さんは時折身振り手振りを加えながら快活に言葉を紡ぎます。対照的に荒牧さんの弟は少し俯き加減に視線を落としてぽつぽつと話します。これは台本から目を離さないというよりは俯いているに近かったです。
その弟がふっと視線を上げる瞬間があったのだけれど、左右に並んでの朗読劇ではあるけれど弟の視線の先にはお姉さんがいるのだろうなと感じられて、その度に木村さんのお姉さんがゆったりと微笑んでいたのが印象的だった。
私は荒牧さんの声が好きなので、それを十分に味わうことが出来て良かったです。特に詩の事を話す時には一人称が僕になったりする所や、クライマックスにお姉さんが自分の事を自覚させるために誘導して「そうだ…そうだ…そうだ!!!」と声をだんだん荒げていく所が凄くよかった。内側にあるぐつぐつしたものをあんまり普段感じさせないようにしている(ように見える)人なので、こういう形で爆発させる所を見るのが凄く好きです。*1
一番ぞわっとしたのはそれまで異なったタイミングで水を飲んでいた姉弟が、まるっきり同じタイミングで水を飲んで、コップを置くタイミングまで同じだったことです。
絞られた間接照明の中で浮かび上がるシンクロする動作って鏡写しのようで、語られた物語とマッチしていてとてもよかった。あれは演出なのかどうかが凄く気になっている。最初の水差しから水を移すのは演出ついているようなのだけれどどうなんだろう…。
他の回を見ないと分からないし、個別演出もついているだろうから完全に同じってことはないだろうしな、と思いつつ良い物を見ました。
とーっても面白かったので以前にお友達の推しさんが出てたよー!であったので感想を聞いてみたいなと思ったし次に上演される時にタイミングがよければ別の方が演じるのも見てみたい。

最後に身もふたもない感想を言うと、弟は好きな人が出来て相手も自分に好意を寄せてくれるだろうとなった時に急に怖くなって自殺をするんだけど、ちょっと、おまえwwそれだからおねえちゃん心配で仕方がないんだよ、おまえのこと!!ってつっこみいれたかったし、そんな思いつめ型直線ぶっちぎりタイプであればイマジナリーお姉ちゃんも余裕で作成してるよね…。
彼女とかいなくても自分の事を一番よく分かってくれるお姉ちゃんが今まで側にいたのだから全然平気そう…おたくによくあるパターンだな…とか思ってしまってすいません。あと、黒髪さらつやまるんで白シャツ黒パンで不眠症とか言われたら萌えずにいられなくなってすいません。
かーわいかったです。
トキのおたく、これは翔太君と翔さんに姉弟交換してどっちもやって欲しいなあと思うなど…お姉さんを男の人がやるパターンすごい見たい。見たい。

帰ってから弟に連絡してしまった姉でした。イマジナリーでないことを祈る。



*1:こういうのを好きー!てなると本当私「荒牧はミラステ出」って思ってしまう